一般的な水転写式デカールではシルクスクリーン印刷の技術が使われていますが、弊社ではインクジェット印刷技術を応用した、SIJ印刷という印刷方法でデカールを印刷します。SIJ印刷は版を使わずにダイレクトに印刷するため、大ロット印刷には不向きですが、0.1mm程度の細い線や多色のグラデーションなどの印刷に向いています。
SIJ印刷専用台紙(コーティング紙)は、溶剤インクジェットインクが印刷できるように弊社が独自開発したもので、コーティング部分にインクの一部が含浸して印刷されます。そのため、仕上がりが薄く見え、表面も平滑に仕上がるため、イラストを印刷したいわゆる「痛車」用デカールや、段差などへの馴染みや平滑度が求められる「瞳」デカールに特に適しています。
近年は、紫外線硬化タイプのインクジェットプリンターの台頭もがありますが、カーモデルなどの研ぎ出しまで行う模型作りにおいては、インクの厚みが出ることからコーティングが難しい面があります。
市販の水転写式デカール印刷は、主にシルクスクリーン印刷が用いられ、版を使用した色ムラのない印刷が特徴の方式で印刷されています。調色されたしたインクを使って印刷されますので、単色の綺麗さや色の均一さに優れています。
シルクスクリーン印刷は、版(スクリーン)を使って色を印刷する孔版印刷のため、使用する色ごとに版(スクリーン)が必要になります。 プリントゴッコ(理想科学工業社:現在は販売終了)は簡易的なシルクスクリーン印刷です。利用経験がある方はお分りかと思いますが、シルクスクリーン印刷も同様に、多色の印刷が苦手です。イラストなど、色を何色も使いたい場合にはそれぞれの色に対して版が必要なため、コストがかかります。グラデーション(ハーフトーンを除く)や特に細い線などの印刷が苦手です。シルクスクリーン印刷では蛍光やメタリック色など特殊なインクを使った印刷も可能です。
SIJ印刷は、表面の平滑さに優れていますが、周囲の透明層を物理的にカットするため、カバーコートに相当するコーティング層の切断面は鋭利になってしまいます。
色を重ねていくと厚みが出てしまいますが、カバーコート(クリア)がインクの上から印刷されるので、マークの縁が画像のように丸くなり、貼付け面への馴染みがよい利点があります。また表面が透明層で保護されるので、印刷の痛みが少ないです。