下地白印刷用のパスの作り方については、別のエントリーを参考にしてください。
本稿では、下地に白印刷を入れた場合と入れない場合の色の変化を検証し、その活用法を紹介します。なお、下地に白印刷をしない場合、カラー印刷部分は基本的に透過します。模型趣味的に考えると、グレーに指定すれば透けないのでは?と思われるかもしれませんが、印刷物は基本的に「白」の紙やメディアに印刷されることを前提としているため、グレーでも透けてしまいます。
意図的に透け感を表現したい場合には、例えば透明素材に貼り付けたり、メタリックカラーやパール系塗料の塗装面に貼り付けたりすると効果的です。これらの素材や表現においては、下地の白印刷を入れずに色の透け感を表現することができます。
下地白印刷は必ず必要?
貼り付けたい場所の色が白や淡い色の場合、下地白は必ずしも必要ではありませんが、一般的には使用することが推奨されます。下地白を使うことで、下地色の影響を緩和できますが、物理的な厚みが増すデメリットもあり、色の層の厚さは「硬さ」と関連しています。
また、貼り付ける箇所が2色で構成され、コントラスト差がある場合、白い下地を使用しても影響を完全に取り除くことはできません。カーラッピング素材のようなシルバーやグレーの素材を使用することで影響を緩和できますが、縮小模型には実用的ではありません。
このような状況では、貼り付け面のコントラスト差を除去する方法が適切です。例えば、白や薄いグレーなどの別の色で一度塗りつぶすことで、下地色の影響を軽減できます。
貼り付け面の色を生かした、意図的に透かす表現
ガイアカラーの「EXシルバー」を塗装したスプーンに、下地の有無による見え方の違いを紹介。
左から順に、白下地あり、白下地なし、一部下地あり、一部の色だけ白下地なしの例を示しています。
- 一番左の「白下地あり」は、一般的な白下地の入れ方で、銀の影響をほとんど受けません。
- 左から2番目の「白下地なし」は、全体が下地塗装色の影響を受けているため、全体的にメタリック感が出ています。
- 左から3番目の「一部下地あり」は、龍とその周りの枠にだけ白下地を入れた例で、背景に当たる部分だけがEXシルバーが見えています。
- 一番右の「一部の色だけ白下地なし」は、龍の赤と淡黄色にだけ白下地を入れず、メタリック感を際立たせた例で、ビールのアルミ缶や、アルミ蒸着のパッケージなどでよく使われているテクニックです。