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ハイキュープリント製デカールの貼り方・扱い方 補足

はじめに

キットの説明書や、デカールの説明書には「デカールを10秒ほどぬるま湯に浸してから、デカールをスライドさせて貼り付けてください」(意訳)と書いてあることが多いのですが、詳しい扱い方については、書かれていない(書くスペースがないため)ことが多いです。また、図解するにも難しく説明不足になってしまいます。

よく話題に上がる「何秒浸せば良いのか?」については、柄や大きさ、水温、室温、経年劣化によって様々で、「台紙からデカールが剥離したのが確認できてから貼り付ける」というのが大事です。剥離していない状態で剥がすと、デカール自体が破れたり、台紙がデカール裏面に貼り付いてしまうこともあります。

 

本記事では、下記の冊子の中では説明できていない、「剥離」を確認しなかった場合に起きるトラブルに加えて、「形的に脆いデカール」の貼り付け対処法について解説しています。


一般的な水転写式デカールの貼り方について解説した冊子を2024年11月に配布しました(現在はPDF版を配布しています)。

貼り付け作業途中の工程を写真と図解で詳しく説明していますので、水転写式デカールを上手く扱いたい方や基礎を復習しておきたい方におすすめです。

 

ハイキュープリント製デカールと市販のデカールは構造が違いますが、基本的な扱い方は同じです。


デカール用の湿地帯作り

確実な「剥離」のために、「湿地帯」作りを推奨しています。

台紙の裏面を水で湿らせますが、デカールのおもて面にはインクや印刷層があるので、表面から水は染み込みません。必ず裏面に浸すことが必要です。湿地帯に乗せることで、「水に浮かべてバラバラに流れていってしまう」のを防げる上、キムワイプで作る湿地帯であれば、繊維ゴミが出ず、毎回新しく作り変えることで、常在菌などの発生もなくすことができます。

キムワイプにたっぷりの水を浸して「湿地帯」を作ります。水は、精製水でなく、「水道水」がおすすめです。乾燥して水がなくなってきたら水を足します。

失敗例

剥離途中で無理やり台紙からデカールを剥がすと、デカール側に台紙のカスが付いてきてしまうことがありますが、剥離不足が原因です。

冬に水が冷たい場合は、水でも時間をかければ剥離しますが、可能であれば「ぬるま湯」を使用します。また、古いデカールの場合、剥離に時間がかかることがあります。通常より時間がかかるため、水を補充しながら剥離するまで待ちます。

同じく剥離が不十分な状態で無理やり剥がしてしまったものです。

形的に弱いデカールにはデカールフィクサー

細いデカールなどで、貼り付け途中にぐちゃぐちゃになってしまう場合のトラブルについてです。形的に力が均等にかからず、割れたり歪んだりしやすいデカールが存在します。製造メーカーによっては起きない場合もありますが、ほどんどは形に原因があり、細いラインや、鋭角、下記のように四角い囲いで真ん中にはオーバーコートがない(仕上がりのために無いのが正しい)ものなどで、貼り付けには慣れと経験が必要です。

対象物への貼り付きが、作業者が希望するような順番で貼り付かないためで、これを防ぐのがデカールフィクサーです。局所的に貼り付くのを遅らせて、液体の上で滑らせやすくなり、かつ乾くと強固で、拭き取りもできます。

まずは基本通りに湿地帯の上に乗せて、水が十分に含浸するまで待ちます。

貼り付ける面はグロス状態で塗装しておきます。貼り付けるデカールより広くデカールフィクサーを塗布します。

 

はみ出したデカールフィクサーは、あとで水やぬるま湯を湿らせたティッシュや綿棒で綺麗にできます。

デカールフィクサーの上にデカールをスライドさせて乗せます。細かな位置の微調整は水で濡らした筆などで行います。

放射状に水を押し出し、曲面に馴染ませてから乾燥させました。デカールフィクサーが周囲に残ったままなので、水で清掃します。

清掃後。この後、模型用ラッカークリアなどで保護用のコーティング塗装をして、再度塗装してツヤ調整をします。

失敗例

よくある失敗ですが、画像の柄であれば本来は中心の上側から位置決めしていきたいのですが、バラバラに貼り付いてしまい、修正が大変になってしまった状態です。この状態からでも水で濡らした筆などを駆使して補修は可能ですが、とてもめんどくさいのと折り目がついてしまうと印刷が割れたりします。デカールフィクサーの使用を推奨します。

株式会社ハイキューパーツの運営する模型用水転写式デカールの印刷サービス。小ロットかつ高精細を両立した新式印刷デカールです。

株式会社ハイキューパーツは、模型用品の開発・販売を専門とするメーカーです。2007年からデカール印刷の新しい方法の研究を始め、2013年には独自のデカール印刷製法を確立しました。また、2014年には箔転写印刷を高精密で小ロットで印刷するCF印刷式を開発して、2018年より受注印刷業務を開始しました。小ロットであっても品質を落とさず、個人でも手頃な価格で高精細デカール印刷サービスを提供することを目指しています。


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